(ジュンク堂書店梅田店さんです)
僕は生徒たちには大人になってほしいなと願ってる。彼らは時として斜に構え、
あたかも物事がわかったような顔をする子どもなので、僕らはそれに屈せずに
大人というのはこうでないと信頼を全面的に失うよということを教えねばならぬ。
その大きい要素として、手帳(メモ帳)の携帯がある。
大人みたいなビジネス手帳を持てとは言わないが、少なくとも大人はほぼ全員
手帳を持っていて、それをベースにして社会的生活を営んでいる。
先輩や上司が何か言ったら、それが酒席であっても目の前でメモを取るというの
は当然のことだし、それは相手に対して「聞いています」というしるしにもなる。
生徒たちもそういう手帳を持って、びっしりと計画を立てたり、授業や終礼で先生
が連絡したことを、こちらがなにも言わなくても書きとめる「大人」もすでにいる。
しかし「覚えればいいやないか」という姿勢でメモを取る習慣のない生徒も多い。
僕は大人がもしそういう姿勢であれば、人間としては信頼するに足る人物であっ
ても、社会人としては信頼できない。したがってメモを取らない生徒は信じない。
一生懸命に勉強しているのに伸びないという生徒がいるが、こちらはちゃんと勉
強の方法をほぼ毎日のように伝えているのだから、それをメモらねばならない。
実際に僕がリスニングの勉強法について授業中に語り始めるや、メモを取る生徒
がたくさんいる。逆にメモを取らずに「あぁそうですか」という顔で聞いてる生徒もい
るが、どちらの成績が伸びるかは言うまでもない。
黒板に書かれたことのみをきれいにノートに取っているだけでは伸びないのだよ。
大人になったら誰も黒板に大事なことは書いてくれんのだ。
生活面ではさらに顕著で、メモを取る生徒が仮に忘れ物をしてきたとしても、ミスだ
とみなすし、人間誰でもミスはするから、特に何とも思わない。
しかしそもそもメモを取らない生徒の場合、忘れるだろうなとこちらも思ってるので
口を酸っぱくして手帳を持てと言うことになるし、持たない生徒は子どもとみなす。
生徒手帳がある学校の場合は、それで代用できるんだろうけれども、小学校時代
には全員が持っていた「連絡帳」をいつから持たなくなってしまうんやろうね。
生徒たち、大人になりたければ、まずメモを取る習慣を付けることだ。大人の条件
にはいろいろあるが、そこがない人間は社会人としては残念ながら子どもなのだ。
手帳の取り方は自分で工夫すればいいが、帰宅したらまずメモを見る。学校に着
いたらまず手帳を見る。何かある度に手帳を開く。そういう習慣を付けてほしいな。