
先日の英語教師塾では比較について授業を行ったんですけど、その内容が
思っている以上に好評だったので、ここでも書いてみたいと思います。
あ、参加された皆さん、復習のつもりで(笑)
先にこちらをお読み下さい。せっかく書いてくださってるので。
僕は比較の中でも「比較級」について取り上げて解説しました。AとBとを比較
しますとそこにはある概念が生まれます。必ず生まれます。
それはAのほうが強いとか高いとか長いとかそういうことです。
そしてさらにどれぐらい強いのか高いのか長いのかが問われることになる。
阪神と中日だと阪神のほうが上で、今は4.5ゲーム差!というようなことで、
どっちが上という段階で終わることはありません。差が問題になる。
日常生活で比較を使う場合には、ほとんど必ず「どれぐらい?」が問題になり
それをもとにして会話が行われることになります。
英語は日常の中で使われるツールですからね。
あそこのスーパーの魚のほうがこっちのより50円ほど安いねん!
とか、
ここの店で買うほうがコンビニで買うよりもどれもちょっとずつ安いで!
とか、
まぁそんな感じで「差」を表すことができるわけですね。
皆さんは比較級をご存知だと思うのですが、それを形にするとこうなります。
ここでは便宜的に「長さ」を使って解説します。
X is ( ) longer than Y.
そしてこのカッコの中に入るべき語としては、数値とかX timesとかnoとかthe
とか、muchやa littleとかを挙げることができますね。
これらは全て「差」を表す表現です。次の文を読んでみてくださいね。
X is much longer than Y.
X is a little longer than Y.
このlongerの前にあるmuchやa littleは「差」を表しています。差が「大きい」、
差が「小さい」と言っているのです。
では次。
X is much longer than Y.
X is a little longer than Y.
X is 20cm longer than Y.
X is three times longer than Y.
これらのようにlongerの前に数字を置いたり、「3倍」を置いたりすることで、
これまた「差」を表すことができますよね。
上から訳しますとこうなります。
「XはYよりかなり長い」
「XはYより少し長い」
「XはYより20センチ長い」
「XはYより3倍長い」
です。OKですか?では次はこれ。
X is no longer than Y.
これも「差」を表します。比較してみてくださいね。
X is much longer than Y.
X is a little longer than Y.
X is 20cm longer than Y.
X is three times longer than Y.
X is no longer than Y.
最後のはlongerの前にある「差」を表す語がnoなわけですから、「差がない」
ということを表しています。つまり「XとYは同じ長さである」という意味です。
ただしこのnoはlongerの中に含まれるlongの要素をも否定してしまいます。
ですから「XはYと同じ長さで長くない」と訳せばいいのです。

では練習しましょう。次の文をそれぞれ訳してみてくださいね。
① Our teacher is no taller than a school boy.
② His house is no larger than my room.
③ He is no less able to speak English than an American.
では検証してみましょう。
① Our teacher is no taller than a school boy.
これは「私の先生は小学生並みの身長しかない」という意味です。
no taller than a school boyなので、「小学生と背の高さに差がない」という
意味になるわけです。さらにnoはtallの意味を否定します。なので「低い」と。
ですから「小学生並みの身長しかない」と訳しておけばいいでしょう。
② His house is no larger than my room.
これはどうでしょう?彼の家の広さと私の部屋の広さには「差がない」と言って
いるのですね。そしてnoがlargeを否定しています。「狭い」わけです。
だから「彼の家って私の部屋ぐらいの大きさしかない」という意味ですね。
③ He is no less able to speak English than an American.
これはもう簡単ですね。「彼の英語の能力とアメリカ人の能力には差がない」
のです。noはlessの原級であるlittleを否定しますから「英語が話せる」という
ことになりますね。否定を否定するので肯定になるのです。
比較級というと「これは差を表す表現」とか「これは倍数表現」とか「ここから
いよいよno more thanだぞ」なんて分けて説明されたりしますよね。
でも全て同じ「差を表す表現」なのです。シンプルでしょ?

で、正直そんなことは、この上の本に全て書きました。買ってくださった方は
ご存知だとは思いますが、そういう法則ばかりをまとめた本なのです。
宣伝みたいですみませんが、文法ってみんなが思っているよりシンプルで、
その法則みたいなものを見つければ、大して難しくはありません。
たとえばno more thanとno more~thanとを分けるのもナンセンスですね。
いずれにしても「差がない」ということがわかれば大丈夫なのです。
よくいろんな人に「そういうふうに文法をスリム化して説明するにはどうしたら
いいでしょうか?」と聞かれます。先生方からですね。
僕も最初からわかっていたわけではなく、いろんな英語を読んでいるうちに
「あぁ、なんだこういうことか」と気がついてきたのですね。
で、それをまとめたのが上のピンク色の本なのです。
またそのうちリライトしますが。
だって最近また新しい法則見つけたから(笑)。
新しい法則、見つけると嬉しいもんですね。
僕、こういうこと言うと変ですが、このピンク色の文法の本、生徒たち以上に
先生方に使ってもらいたいなと思っています。
そしてできるだけシンプルに授業で使ってもらいたい。
もちろん授業では「キムタツの本に書いてあった」なんて言わなくていいです。
まるで自分で発見したかのように説明し、ええ格好してもらいたい。
それでいいのです。そうすれば生徒たちも先生スゲー!って思いますよね。
文法ってシンプルです。面白いです。皆さん、文法を楽しみましょう(^-^)
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(追記)英語の先生方へ。アルクで6月8日にイベントがあるのですが、
すでに30名ほどがお申し込みなんだそうです。
今回は学校だけでなく塾や予備校の関係者もOKということで
さらに教員志望の大学生などもOKなんだそうです。
要するに・・・誰でも入れるってことやな(笑)。
詳細はこちらをご覧下さい。定員になると締め切りますからね。
(追記)語り口の文法の本や文法の対談本も書いてみたいな。
すごくわかりやすいと思う。
文法が楽しめる本、絶対に何があっても来年出します。