8月末に長崎に行ったとき、遠藤周作文学館を訪れた話は以前も書いたけど、
それから約3週間、遠藤先生の著作に埋没・・・でもないけど、読んでたのだ。
・『彼の生き方』 遠藤周作
ドモリで気が弱い福本一平は野生の日本猿の研究に身を捧げます。しかし
猿の餌付けに成功しつつある彼の前には無理解な資本が立ちふさがります。
人間ってのはいくら優秀でも、独りでは弱い。しかしその中のひたむきな生き
方、あるいは人の愛し方について取り上げた長編小説です。お勧め。
・『悲しみの歌』 遠藤周作
えっとね、うむ、この本を読むのは『海と毒薬』を読んでからにしてほしい。ア
メリカ兵捕虜の生体解剖実験事件で戦犯となった開業医のその後と、正義
の旗印をかかげて彼を追い詰める若い記者。エセ文化人たる大学の教授や
人を愛することしか知らないガストン(遠藤作品にはよく出てきます)などなど、
新宿は歌舞伎町を舞台に、様々な人物がまるで輪舞のように登場します。
人間の弱さや悲しさを見つめつつ、荒涼とした現代社会において「生きる」っ
てのはどういうことなのかを描いた長編小説です。お勧め。
・『私にとって神とは』 遠藤周作
悪いことをしたら神様の罰が当たるよと昔っから言われてきましたね。僕なん
て無宗教のカタマリみたいな家に育ったけど、それでもそう言われてきた。だ
けど偉そうに人を批判してるアナタ!アナタは誰かを批判できるほど、立派な
人なのかい?欠点だらけの人間が他の人間を裁くことなんてできっこないんだ。
それに神様だって全ての人間の営みを許してくださってるのにさぁ・・・なんてこ
とが書かれてる本。キリスト教だけを取り上げているわけではないので、遠藤
先生の宗教観を垣間見たい人にとっては、かなりわかりやすく取材形式で書か
れています。難しいかもしれないけど読んでほしいな。
というわけで、サインをくださいというお手紙をある学校の保護者の方から頂戴し
たんやけど、その中に「ブログで本の紹介をするたびに買って読んでいる人が多
いと思います。どんどん紹介してください」とあったので、今日はこの3冊。
この3冊以外にも浅田次郎先生の本を4冊読んだけど、それはまたの機会にご
紹介いたします。今週は長崎の先生が授業見学にいらっしゃる。楽しみだ!