今年は読んだ本をここに書いていこうと言いながら、全く書けてへんやないか
というお叱りの声もなく、でも書いてないという事実は私のハートに重く重くの
しかかっているのだ。いや、本当に。
なんで書いてないかというと、結構あれは好評で、僕が読んでここに書いた本
がアマゾンの順位が高くなるらしく、それはそれでいいねんけど、やっぱり本を
探して読むというのが好きな僕としては、それでいいのか?と思ったりな。
というわけで、読んだ本でこれはよかったなというのだけ、ここにちょこちょこと
紹介していこう。全部書く必要もなかろ。
● 『陰翳礼讃』 谷崎潤一郎
関西は今のところ計画停電とは無縁やけど、日本ってのはそもそも夜が明る
過ぎるんやないかと思うこともあって、読み返してみた。陰翳論だけではなく
懶惰について、恋愛及び色情について、旅について等、谷崎の視点を楽しめ
る一冊。お勧め。
●『プリズンホテル春・夏・秋・冬』 浅田次郎
春だけでも読んでみ。残りの3冊も読みたくなる。読書の習慣のない人たちは
この本を読むと浅田先生の本をもっと読みたくなるのではないか。
●『人間について』 司馬遼太郎・山村雄一
対談なんやけどね。司馬先生と医師である山村先生の視点が面白い。ただ、
言いよどんでる部分も全て書き出してあるので、少し読みにくいけど。
●『神様からひと言』 荻原浩
「おぎわらひろし」先生ね。「はぎわら」じゃないよ。長編小説ではあるけど、こ
れは一気に読めるよ。この人の文章は、浅田先生の『プリズンホテル』なみに
面白くて、また仕事や人生について考えさせてくれる。
●『木』 幸田文
昨日も書いたけど、幸田先生の日本語は美しい。こういう文章に触れるとどう
も自分の服の汚れが気になってしまう。草木に興味のない人でも、心の琴線
に触れるところがある。是非読んでほしいな。
●『侍』 遠藤周作
キリスト教が迫害されていたときに、ひとりの侍が宣教師とともに海を渡った。
その侍はキリシタンだったわけではなく、日本の発展のためにお上から命令
されて、致し方なく船に乗ったんやけど、そのためにそれまで育った谷あいの
村とは全く違う「海外」を目にすることになるし、そのために悲哀を経験するこ
とにもなる。当時のキリシタンの悲哀云々より、人間の心の深みを感じてほし
いな。人間ってのは悲しく、だからこそ美しくもある。
というわけで、今日はこの6冊・・・というか9冊です。どれもお勧めなんやけど
読書の習慣のない人は『プリズンホテル』から、読書大好きな人は『陰翳礼讃』
か『木』、『侍』あたりからいってくだされ。
軽い小説が好きな人は『プリズンホテル』と『神様からひと言』がお勧めやけど
エッセイが好きな人は『陰翳礼讃』と『木』をどうぞ。
3時半に目が覚めたので、仕事します。