KIMUTATSU BLOG
木村達哉のブログ「キムタツブログ」

日別アーカイブ: 2010年12月14日

kimutatsu

部分点なんて狙うなっちゅうねん

Posted on: 2010年12月14日(火) 23:16

 

 

 

 

 

 

 

 

  
センター試験が近づいてきましたね。受験する生徒たちは頑張りましょうや。
今さら頑張ったって点数は上がらないと諦めている人はいませんか。

上がるかどうかわからないけど、諦めたら絶対に上がることはないんやから
最後まで頑張りましょう。受験は決して結果が見えてる勝負ではない。

ところで期末考査を採点していて気になることが。

誰に教わったのか、部分点狙いの答案が出だしました。アホな答案ですな。
英語を書いたり喋ったりするのに「部分点」なんてものはありません。

誰かと喋ってるときに「この単語わからん」と思って、「よし、部分点を狙おう」
なんて考えるバカはいません。わからんなりに必死に伝えようとします。

大学入試では部分点なんてまずありません。

あるとしたら模擬試験の採点でのみです。

模擬試験は部分点があります。なぜなら模擬試験は返却しなければならな
い試験だからです。部分点なしにすると、先生から業者が怒られるのです。

一番信憑性が高そうなベネッセの模試でも部分点があります。

大学入試は(高校入試も)返却義務はありません。したがって「ダメだな」と
思ったら×にします。その点で模試と入試とはまったく違います。

おっとその前に、ある答案をご紹介いたしましょう。今回出した英作文ですが
日本語がこのようになっています。

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おまえがそんな短時間にあの分厚い本を読み終えたはずがないがな。

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生徒の答案で一番多いのがこれ。

You can’t have read through that thick book in a short time.
You can’t have finished the thick book in such a short time.

というわけで、正解です。

むろん、You can’t have finished such a thick bookとかにしても
いいのですが、大事なのは<can’t have done>のところなのです。

ところがこの「分厚い本」のところで困った生徒がいるようです。しかしなぁ、
お前たち、中3にもなって「分厚い」も書けないようでは困るじゃろ。

困った生徒たちで、こう書いている生徒がいました。

You can’t have finished reading such a big book in a short while.

bigとbookのコロケーションを考えると、どうもガリバーが巨人の国で目に
するようなでっかい本をイメージします。だから減点します。マイナス1点。

問題はですね。

You can’t have read such a      book in a short time.などのように、
書かないで空けてあるケースです。わからんので空けてある。

これは部分点も与えずに×になります。

要するに与えた日本語を表現し尽くしていないので、減点ではなく×になる。

それからこんなのも出題しました。

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うちのお母さん、お父さんと結婚すべきやなかったと思うわ。

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僕の英作文ってだいたいこういうのが多いのですが、まぁお許しあれ。

そうすると中3ではmarryは出てきているものの、他動詞なのか自動詞な
のか、あるいはget married toやったかwithやったか覚えてない。

場合によってはmarryという動詞を思い出せなかった生徒もいました。

したがってこう書く生徒がいます。

I think my mother shouldn’t have     my father.

もちろん、言うまでもなく、1点もなく×になります。

英作文ってのは与えられた日本語をいかにして英語で伝えようとするかを
紙面に落とし込む、翻訳作業なのです。

わからないからといって、白紙にしてしまい、部分点を狙おうとしても無駄だ。

 

 

 

 

 

 

  
以前、京都大学の教授と英作文の採点について喋ったときにこのように
仰ったのを、感心して聞いていたのをいまでも覚えております。

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採点をする際は、日本語を読み、自分で理解した後は、生徒たちの解答を
ひたすら読み、その日本語に近いかどうかをチェックします。文法的なミス、
語彙の使い方のミスなどはあまり気にせず、その日本文の意味内容を正確
に掴んで、自分なりの英語で書こうとしているかどうかをチェックします。

そして明らかにわからないから放棄したんだなという箇所があると、片っ端
から採点対象から除外します。つまり0点になります。

与えられた日本文とのズレがある箇所に対してのみ、減点していきますが、
単語のミスはマイナス1点か、ミスしていても伝わるなと思ったら点は引きま
せん。構造上のミスをすると英語がムチャクチャになるはずなので、その場合
には大幅に点数を引きます。

何より点数を引かれるのは、採点対象外のものです。日本文全体に対する
翻訳になっているかどうかが、ある意味では採点対象となります。

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つまり部分点狙いのつもりで、わからない箇所を空白にしたり、カッコ付けに
したりすると、採点対象から外れるってことになるのだ。

それ以来、僕も採点する際には、この英語を誰かが喋ったとして、通じるかど
うかという視点でまずは通読し、通じない場合、あるいはもとの日本文からす
れば明らかに恣意的な抜けがある場合には、採点せず、ゼロ点にしています。

和訳する際にも、わからない語があると、ついそれを抜かして訳したりする人
がいますが、模試では減点で済むものが、入試では全体を×にされますよ。

というわけで・・・

さぁ、採点の続きやろかな。

 


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