KIMUTATSU BLOG
木村達哉のブログ「キムタツブログ」

日別アーカイブ: 2009年11月9日

kimutatsu

極めたいという情熱があれば

Posted on: 2009年11月9日(月) 13:34

少路小学校にて

先般、日本大学中・高等学校にお邪魔したときに、実は凄くやる気をくすぐ
られる出会いがありましてね。今日はそれについて書こうと思います。

新横浜の駅からタクシーに乗ったんです。

運転手さんは70歳前後の方でした。

僕ね、あんな狭い空間で2人とも黙ってるなんて不自然な状況には耐えられ
ないんです。だから喋り始めました。いつもどおりですが。

木 :いつも思うんですが、東京や横浜って人が多いですね。景気が関西
   とは違って、とてもいいのがわかります。
運 :そうですね。関西はかなりひどいらしいですね。
木 :僕はあまり景気とは関係ない職種なんですが、どうもそうみたいで、
   タクシーの運転手さんたちもかなり苦労されてるみたいです。
運 :でもお客さん、東京以上に景気のいい都市がありましてね。
木 :横浜より? えー、どこでしょう。
運 :上海です。いえ、北京もそうですが、中国は全体的に好景気です。
木 :あー、なるほど。
運 :実は7月に上海に行きましてね。あまりに景気がよくって、3日間だけ
   滞在するところを10日もいて楽しみました。
木 :でも運転手さん、7日間も滞在を引き延ばすとなると、ホテルとかの交
   渉を考えると、かなり言葉が達者じゃないと無理ですよね。
運 :いえね、恥ずかしい話ですが、私は北京語と広東語ができるんです。
木 :えー、すごい。どうやって勉強しはったんですか。
運 :お客さん、中国に行ったことはありますか。
木 :あります。というか、私も中国が好きで、6~7回は行きました。あの
   規模の大きさと、人々のおおらかさと、熱烈歓迎の様は日本とは全く
   違いますよね。
運 :そのとおりです。でも最初に行ったとき、ちょうど私が50歳の時です
   が、こんな国、二度と来るものかと思ったのです。だってそうでしょう。
   五つ星のホテルに泊まったのに、お湯は出ない。フロントに電話した
   って「すぐに行く」と言いながら2時間以上来ない。こんないい加減な
   国はもうたくさんだと思いましてね。
木 :なるほど。それも含めての「おおらかな中国」を楽しめないと、日本の
   国内やリッチな旅行しか知らない人には耐えられんでしょうね。
運 :そうなんですよね。でも帰ってから思ったのです。あの規模の大きさ
   を楽しめなかったのは、もしかしたら自分の責任じゃないかと。
木 :ほぉ。

Mt. Fuji

運 :もっと中国の人々と交流できていれば、もっと楽しめたんじゃないかと。
木 :それで勉強されたんですね、中国の言葉。
運 :マスターするまでは中国に行かないと決めました。そして本屋さんで
   CD付きの中国語の本を買ってきましてね。片時も離さずに勉強して
   いきました。本当に片時も離さずに。
木 :どないやって勉強しはったんですか?
運 :どんどん読んでどんどん聞きました。読んで聞いたものは全て暗唱
   していきました。飲みにいくときは中国人の方がやっているお店ばか
   りに行って、お店の人に頼んで中国語だけで話してもらいました。
木 :最初は通じなかったでしょう?
運 :もちろん。でも生の中国語に触れたくて、そうしました。
木 :どれぐらいで中国語ができたと感じましたか。
運 :3年です。3年間で5冊まるまる暗唱しました。
木 :5冊暗唱!?そりゃ凄い!全部暗唱しはったんですか?
運 :それ以外に方法を知らなかったですから。CDがついていない教材は
   買いませんでした。全て読み、それを聞き、そして覚えました。
木 :鬼気迫るものがありますね。
運 :自信になりました。学歴もない自分ですが、やればできるんだなぁと。
   3年で5冊暗唱してから、53歳のときに中国に再度行きました。
木 :どうでしたか?
運 :素晴らしい国だと思いました。最初は香港から来たんだろうって言わ
   れましてね。どうしてだと聞くと、日本人は中国語も英語もできないと。
   それだけ北京語ができるのはきっと香港の人間に違いないと。
木 :なるほど。
運 :いや、俺は中日友好のために3年間こうやって勉強したんだと言うと
   彼ら中国人は熱くもてなしてくれました。中国人はもてなすのが大好き
   ですし、物をもらうのが大好き。物をあげるのも大好き。人が大好きで
   胸襟を開くまではなかなかですが、友達だと思うと、自分は破産しても
   いいからその客人をもてなす国民です。もてなしてもらいました。
   それ以来、毎年中国に行っています。今年70歳ですが、これで17回
   めやったのです。
木 :・・・(感動してしまって何も喋れない)
運 :子どもたちも手を離れたので、もう働かなくてもいいのですが、毎年
   中国に行くためにタクシーの運転手をやってます。
木 :いや、感動しました。感動したという言葉では言い尽くせないけど。
運 :私は何もできなかった。だから生きている間にせめてこれはという力
   を身につけたかった。たまたまそれが中国語だっただけです。
   ところでお客さんは何か外国語ができますか?
木 :何もできません。英語がほんの少しできるだけです。
運 :極めたいという情熱があれば、全くできない状態からでも3年でOK
   です。なんの才能もない私でも3年なのですから、英語が少しだけでも
   おできになるなら、どんな言語でも2年ぐらいで極められるでしょう。
   大事なのは方法なんかではなく、情熱だと私は思います。
木 :私、教員をしてるんです。生徒たちに今の話を伝えたいと思います。
   今日はいいお話をありがとうございました。

先月から英語の勉強を始めて、アルクのヒアリングマラソンなどをやってる
のですが、それは実はこの運転手さんとの会話がきっかけなのです。

運転手さん、僕も負けずに頑張ります。

暇があれば読み、暇があれば聞き、そして暗唱します。そしてもう大丈夫と
いう自信ができたら・・・

どうしようかな、それはきっと勉強を継続し続ければ神様が教えてくれるか。
頑張っていれば神様が背中を押してくださる気がします。

今はヒアリングマラソンを聞いて、まるまる覚えていっています。ものすごく
ペースは遅くなるけど、でも英語を極めたくて頑張っています。

勉強ってこんなにも楽しいのですね。高校時代にそれを誰かが伝えていて
くれればまた違った人生だったのか。それとも誰かが教えてくれていたのに
それを聞く耳を持っていなかったのか。

英語とフランス語と中国語を極めてから死のうと決めました。頑張るよ。

 

(追記)頑張っていればこういう出会いもありますね。神様ありがとう。

 


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