KIMUTATSU BLOG
木村達哉のブログ「キムタツブログ」

日別アーカイブ: 2008年8月18日

kimutatsu

読解力を高めるために、その3

Posted on: 2008年8月18日(月) 18:39

お言葉

今日は読解力を高めるために、その2」の続きです。長文読解を解くときに
いちいち全文を構造分析しながら読んでたら遅くなるのは自明ですよね。

ところがどうもそういうクセがついてしまっていて、だから大学に入った後に
ごっつい長い論文を読むときにも構造分析しながらでないと読めないという
大学生も結構多いそうです。それでは論文も本も読めっこありません。

我々が日本語で書かれた評論文を読む際に、日本語の構造を分析する
なんてことはしないはずです。これが主部でこれが述部で・・・なんてふうに。

ところが英語だとどうしてそういうふうにしか読めないんでしょうね?

その理由を考えてみました。

****************************

①  英文を読む習慣ができていないので、逐語的にしか読めない。

② 英文解釈をするときのクセが抜けきっていない。

③ 評論のパッセージの成り立ちを理解せずに読んでしまっている。

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まぁこんなところかなぁと思うんですが、他に理由ありますか?あるかな。

デカンショ祭り
(丹波篠山のデカンショ祭です)

で、いずれにしてもこういった人たちは日本語の評論を読むときも苦労して
おられるんじゃないのか?と思うんですが、どうだろう?

たとえば第1段落を読んでるときはいいんだけど、第5段落を読むあたりに
なると、第1段落や第2段落に何が書いてあったか覚えてない!

その原因は要するに、「筆者の言いたいこと」を掴もうとして読んでいない。

単語の意味や構文なんかを理解しようとするレベルから脱しきれていない。

例えば次の英文を読んでみて下さい。

*****************************

Whoever has to deal with young children learns
that too much sympathy is a mistake. 
Children readily understand that an adult who
is sometimes a little strict is best for them.

*****************************

これは来月頭に発売になる『東大英語基礎力マスターVol.5』から抜粋
したものです。問題1に掲載されているものです。

これを読む際に一番にしなければならないことは何か?

 

それは前から前から構文を取っていくことです!!!

 

と、答えた人は間違いです。正解は・・・

 

「筆者の言いたいことを掴み取ること」です。

 

単語の意味、文法の理解、文構造の分析といったものは、筆者の主張を
汲み取るためのツールなのです。だから単語や文法や構造分析力って
大事なのですが、それ自体が目的になっては意味がありません。

もちろん上の英文が下線部訳になっている場合には、一生懸命に構文を
分析して、ある程度は単語と構文に忠実に訳したほうがいいと思う。

でも長文の一部で下線も何も引かれていない場合にはさっと読んだうえで
「なるほど子どもに共感しすぎるのは良くないのか」と理解し、次の英文に
どんどん進んでいったほうがいいわけです。

もちろん下線が引かれていない部分に知らない語句があっても気にしない。
例えば上の文をもう一度違う形で提示してみましょう。

*****************************

Whoever has to ( ? ) with young children ( ? )
that too much ( ? ) is a mistake.
Children ( ? ) understand that an adult who
is ( ? ) a little strict is best for them.

*****************************

慣れないうちは構文を必死に取ってもらっていいのですが、上のように
空所に知らない単語があるとしても、「なんかよくわからないけど、どうも
子どもには厳しいほうがいいってことやな」と読めれば問題ない。

知らない単語があっても関係ない。知ってる単語から「筆者の言いたい
こと」を把握できれば問題ありません。

日本語の新聞を読むときだってそうですよね。例えば経済欄なんかだと
意味がよくわからない漢字があってもだいたい読める。

なぜかというと、それ以外のところからナントナクわかろうとする読み方が
備わっているからです。全ての言葉を知っている必要なんて全くない。

神戸の夜景

ではここで少し整理してみましょう。

*****************************

①与えられた長文を読む際は「筆者は何を言いたいのか」を把握すること
  を第1目標にして読み進める。とにかくどんどん読み進めること。

②下線部訳の部分でない限り、いちいち構文を取ろうとせずに読み進め
  知らない単語があれば無視して、他の部分から読み取ろうとする。

③ただし問題に関係する箇所、下線が引かれた箇所についてだけは
  単語の意味や構造分析を意識しながら精読する。

*****************************

構造を分析する練習ってのは、例えば『国立大学英語リーディング』では
なく、その前の段階で、例えば『ビジュアル英文解釈』などで練習する。

僕の友達である四天王寺高の大向先生も、高1高2あたりで英文解釈の
本を2冊は生徒たちに与えて潰させると仰っておられた。

それをやりながら長文に関しても高2あたりから与えるんやけど、解釈と
長文とでは、問題集の目的が大きく異なる。

ところがどちらも構文を取りながらでないと解けない、読めないというのは
もしかしたら学校と予備校のせいかもしれんが、訳し下ろしながら読まない
と授業ができないということでは、生徒たちもそういうクセがつく。

英文解釈用の問題集と長文読解用の問題集の切り口が同じでは意味が
ありません。前者はそれこそ長文の下線箇所を熟読するためのものだ。

長文を読む際に、下線を引いた場所や問題に関係のある箇所と、そうで
ない箇所とを同じ速度で同じ精密さで読む必要なんてないからね。

むしろ問題に関係のない箇所でよくわからんなぁというところがあったら、
全訳を見ながら、辞書をひきながら、『ロイヤル英文法』を調べながら、
どんどん補強すればいいと思う。

で、ここまで書いたけど、実はここまでが導入。

だから最初に言うたやん。めっちゃ長くなるよって。

とりあえずここまでは、長文を読む際は、下線部を訳すのと同じ読み方を
したらアカンのやなってわかってくれたらそれでいいのです。

具体的にどうやって読んでいけばいいのか。

それをするために大事なことは何か。

それについてはまた明日以降に書きます。楽しみにしておいてくださいね。

それと『東大英語基礎力マスター』Vol.5とVol.6の初稿が届きましたが
いずれも「実況講義篇」でして、僕の授業が再現されております。

ちょっと関西弁が混じっているところもあるけど、それはご容赦あれ(笑)。
「こんにちは、木村です。」から始めて、最後のメッセージまで、それこそ
授業CDを聞いている感覚でやってもらえたらいいなと思っています。

ホントにいつもありがとうございます。
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(追記)僕は高2の後半以降になると、長文も全部は読みません。
     英文解釈の授業なら全部読むけどね。

 

  


投稿者: kimutatsu  |  カテゴリー: 英語  

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